眼科手術で使う粘弾性物質について

今日は眼科手術を9件器械出ししました!白内障手術(CAT)と緑内障手術(グラとVIT)。9件と言っても少ない感じがするかもしれないですが、大学病院の手術室だし、脳みそから四肢、ほね、心臓、内臓、皮膚など全身の臓器の手術を行っていて、一日平均35件~40件くらいの数をこなすことを考えれば、めだまだけで9件は多いほうではないでしょうか。

というわけで、いつも眼科手術の日は残業決定です。残業代がしっかりでるのでお金が欲しい私にはうれしいけれど。

白内障手術の器械出しをするたびに疑問に思って、家に帰ると速攻で忘れることがありますが、それは白内障手術に使う粘弾性物質。ということで粘弾性物質について話したいと思います。

粘弾性物質を使用する目的
①手術中の空間確保,保持
水晶体前嚢切開や人工水晶体挿入時には,前房(角膜と水晶体の空間)を保った状態で手術操作を行う必要がある。その際,粘弾性物質はその高い粘性と弾性により,前房の空間確保と長時間の空間保持を可能にし,術者は手術操作を容易に行うことができる。
 ②手術操作中の眼組織の保護
 水晶体吸引時に前房内に残存する粘弾性物質は,それ自身に水晶体の核片や気泡などから
 角膜内皮細胞を保護する働きがあることが知られている。

●粘弾性物質の種類
凝集型:文字通り一塊になりやすい。そのため残ることなく吸引されやすい。粘弾性物
 質として最初に登場したもの。
 ex)ヒーロ〇、オペガ〇など
分散型:文字通りかたまりにくく、分散しやすい。粘弾性物質が分散されることによっ
  て、水晶体乳化吸引中に発生する水晶体の核片や気泡などによる角膜内皮細胞への傷害
  を、粘弾性物質が軽減してくれる。ということで凝集型より保護作用が強い。
 ex)シェルガ〇、ビスコー〇など
これらの特徴を利用して使い分けをしているんです。では私の病院ではどんな風に使い分けているか。

まず、簡単に白内障手術の流れについて説明すると
①結膜と強角膜の切開
②水晶体前嚢切開
③水晶体吸引
④人工水晶体挿入      

おわり끝

眼科の先生たちは、粘弾性物質を②水晶体前嚢切開の時と④人工水晶体挿入の時に使っています。先生によっては、局麻する前に角膜にシェルガ〇をつける方もいます。多分角膜の乾燥を防ぐためだと思います(あえて聞きません。私はコミュニケーション障害なので)。  

水晶体前嚢切開(CCCと言います)の時は、分散型→凝集型の順に使っています。CCCの時は角膜と水晶体の空間を保つ必要があるから凝集型を使っているなと思うけれど、先に分散型を入れるのは、なぜでしょうか?多分保護するためだと思いますが。(後で勉強します)

人工水晶体(IOL)挿入の時は、凝集型のみ使います。ちなみに、粘弾性物質は眼内に残ると感染症や眼圧上昇などの合併症になります。そのため、白内障手術の仕上げの部分であるIOL挿入時は、残留しづらい凝集型を使うのかな?と思います(これも勉強します)。

ということで私の未熟な知識による粘弾性物質の話でした。

※参考文献
物性の異なる粘弾性物質を用いた白内障手術
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnbr1987/17/4/17_11/_pdf

#手術室看護 #眼科手術 #粘弾性物質









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